

大切な人
君はよく 違うところを見て 大事なものを おっことす だからボクは 君が落としたものを 拾うんだ そして君も ボクが気づかぬうちに 落っことした大事なものを 拾ってくれるんだ でも時々拾ってくれないけど


雷鳥
空を揺るがす雷鳥に 何をそんなに鳴いているのかと問う 彼はいう この世界はまだ生きているということを 知らせるためだと ほどなくして雷鳥は 雨雲を残し去り ひんやりとした空気と 湧き上がる草木の匂いを蘇らせた


Drop
今日も雨が降る しとしとと 木々にあたり 地にあたり さまざまな音色を奏でる そして私を濡らしてゆく


伯爵
伯爵は今日も偏頭痛おきてます。 ちょっと静かにしてくれないか? 頭に響くんだよ。


Frog
カエルは言った。 おまえはまだ気づかないのか? 一緒にいるだけで笑顔になっちまう 一緒に美味いもの食べて笑顔になる... 一緒にいるだけで穏やかな気持ちにさせてくれる相手なんて、そうそういないんだぞ。


Queen
盤面に佇む駒の女王はいいました そなたの心は、人を憎むためや見下すために使うものではない そなたの前に現れる者たちはみな 学ぶために用意された縁 学ばなければならぬ事から眼をそらす限り その縁は切れたと思うても また同じ者が現れ繰り返される...


言霊
他人の受け売りの言葉など 私には届かない 何の魂も入ってないから そもそも己が体験し苦しみ 考え生み出されたものなら 他人の言葉など必要ない 魂に刻まれた言葉には その命が吹き込まれている 私が求めるのは 本来のあなたの言葉です 空っぽを連ねた言葉じゃない


小鳥
掌におさまるほどの瑠璃色に輝く石を手に取り覗いてみると、小さな小さな艶やかな色を身にまとった小鳥のようなものがスヤスヤと眠っていた。 静かに眺めていると、その小鳥のようなものは薄っすら目を開き静かに囁いた。 もうすぐでるよ... きみの力になるために。 ...


Clock
薄暗い闇の中 孤独な時計職人は言った どうすんだ おめぇさん 針を動かすネジを回すか回さないのか おめぇさんの刻を刻むのは てめぇ次第だぞ しのごの言う前に 動かしてみろい


おばあさん
幼きころ。 いじめられて泣いてばかりいたボクにおばあさんは優しく言った。 おまえにとって嫌な相手と巡り合ったのは何かの縁。学ぶべき相手なんだよ。 嫌なことされた分、おまえはこんな事をすると人は悲しい思いをするんだ、こんな人にはならないでおこうと思えばいい。...