ウオタさん
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ぼんやりと海を眺めていたら 懐かしい姿が見えた。
ボクは慌てて走り出し、 海岸の波打ち際に向かった。
ウオタさん!!
そこには数年ぶりに陸に上がった ウオタさんがいた。
「おおっ!久しぶりじゃねーか!」 と、ウオタさんがこちらを振り向いた瞬間、 ボクはウオタさんの尾びれに弾かれ転んでしまった。
「おいおい、大丈夫か?」 たいして悪びれる様子がないまま ウオタさんが声をかけてきた。
前から疑問だった 体の前に尾びれがある状態で どうやって海を泳いでいるのかを聞いた
「あ?おらぁ泳ぐときゃ、人で言う背泳ぎだ」
そうだったのか… その後頭部の形状にもなんとなく理解ができた。
「理解しがたいものには、実は理由があったりするもんなんだよ」
そうみたいだ。 けど、なぜ陸に上がるとその状態になるのかは分からなかった。
尾びれ、絶対邪魔だと思う…